大月市に住んでいると、隣の上野原市にはよく出かけます。
平日の夕方、上野原駅の改札を出ると、部活帰りの高校生や仕事帰りの人がぱらぱら歩いていて、駅前のコンビニには車がひっきりなしに出入りしています。
ところが、「上野原市
人口減少」「上野原市 人口
推移」といったキーワードで統計を眺めると、数字のうえでは、ここ数十年着実に人口が減り続けている町です。
「数字ははっきり減少なのに、日常風景はそこまで壊れていないように見える」――このギャップはどこから生まれているのでしょうか。
この記事では、
- 上野原市の人口減少の現状
- 同じ規模の香川県多度津町・島根県江津市との比較
- 大月市民から見た生活の実感
を組み合わせながら、「なぜ急激な変化に見えないのか」を説明ベースで考察してみます。
1 上野原市の人口推移と、歩いたときの印象
統計を見ると、上野原市の人口はかつて3万人弱だった時期から、現在は2万人台前半へと緩やかに減ってきています。(上野原市の人口・世帯)
典型的な地方の「人口減少・高齢化が進む自治体」です。
一方で、実際に歩いてみるとこんな感触があります。
- 上野原駅前にはコンビニや飲食店が残っている
- 国道沿いにはスーパーやドラッグストア、ホームセンターが並び、夕方は駐車場がそれなりに埋まっている
- 朝の時間帯は、駅に向かう高校生やスーツ姿の人も目に入る
大月側から車で上野原に向かうと、橋を渡った先の交差点で必ず何台かと信号待ちを共有します。「車が一台もいない」という瞬間は案外少なく、「確かに人は減っているはずなのに、生活はまだ普通に回っているように見える」という感覚が残ります。
この「データ」と「体感」の差が、この記事の出発点です。
2 上野原市と多度津町・江津市の人口規模をざっくり比較
上野原市のイメージをつかむために、人口規模が近い自治体として、香川県多度津町と島根県江津市を並べてみます。いずれも最新の統計でおおよそ2万人前後の自治体です。
おおまかなイメージ比較(※いずれも「2万人前後」という規模感)
山梨県上野原市
- 人口:約2万人台前半
- 特徴:中央自動車道IC・JR中央本線があり、首都圏への通勤圏ギリギリのポジション
-
- 人口:2万人前後
- 特徴:港湾・鉄道の結節点で、四国の「入り口」のような立場
-
- 人口:2万人台前半
- 特徴:山陰道やJRが通り、沿岸部の小さな拠点都市という位置づけ
この3つに共通していそうなのは、
- 人口2万人前後
- 長期的には一貫して人口減少
- 高齢化率が高い
という「典型的な地方小都市」である点です。
それでも多度津町や江津市の様子を写真や記事で見ると、
- 商店街のシャッターは増えている
- それでも駅や幹線道路周辺には人や車の流れがある
という、上野原市とよく似た雰囲気が伝わってきます。
つまり、「人口がじわじわ減っているが、生活インフラはまだ持ちこたえている」という段階にある町は、日本各地の2万人規模自治体に共通するパターンなのかもしれません。
3 「上野原市 人口減少」が“急変”に見えない理由① 交通の強さ
「上野原市 人口減少」というキーワードだけを見ると、暗いイメージになりがちですが、生活の側から見ると、交通条件の良さがそのインパクトを和らげているように感じます。
- 中央自動車道の上野原ICがあり、高速で都心・甲府方面へ出やすい
- JR中央本線で、新宿方面へも時間はかかるものの一本で行ける
- 車社会前提なら、買い物・通勤・通院の動線がまだ確保されている
大月市側の実感としても、
「電車に乗り換える場所として」「少し買い物を足す場所として」上野原を使う場面は多いです。
交通の結節点であることは、多度津町や江津市も同じで、
- 多度津町:瀬戸大橋や鉄道が交わる地点
- 江津市:山陰道・鉄道が通る沿岸部の拠点
という共通点があります。
この“通り道であり続ける”という性質が、
- 完全な行き止まりの町に比べて、
- 店舗やサービス業が長く踏ん張りやすい
という形で効いている可能性は高そうです。
「人が減っているのに、町全体が一気に静まり返らない」のは、この交通の強さがあるから、という仮説が立ちます。
4 理由② 地元に残る仕事が、昼間の“人の気配”を支えている
もう一つのポイントは、産業構造です。
上野原市には、製造業の工場や建設関連、物流拠点など、いわゆる「大企業の支社」だけではない地元企業が点在しています。朝、国道を走ると、作業服姿の人たちを乗せた車やトラックが、決まった時間に動き出しているのが分かります。
多度津町でも港湾・物流関連、江津市でも工業・商業の小さな事業所が散らばっています。
このように、3つの自治体には、
- 地元で完結する仕事が一定数ある
- 中小の事業所が分散しており、雇用が一か所に集中していない
という共通点がありそうです。
その結果、
- 平日昼間でも、人影が完全に消えるわけではない
- 金融機関や飲食店などが細々と続きやすい
という状態が生まれ、「急激な空洞化」に見えにくくなっているのではないか、と推測できます。
もちろん、賃金水準や将来性などの課題はあるでしょうが、
「地元で食べている人がまだいる」という事実が、日常風景の安定感につながっている可能性は高いと感じます。
5 理由③ 周辺市町村と一体になった“エリア”としての安定
上野原市を単独で見るより、「大月・都留・上野原」という広域の生活圏で考えたほうが実態に近いかもしれません。
大月市に住んでいると、こんなケースにけっこう出会います。
- 上野原の工場や事業所に、大月や都留から通っている人
- 上野原在住で、大月市内の小売・サービス業に勤めている人
- 休日になると、家族で隣の市のスーパーやホームセンターに買い出しに行く
こうした“相互乗り入れ”が当たり前になっていると、一つの市が何かのきっかけで弱っても、他の市が部分的に補うという動きが自然に起きます。
その意味で、「上野原市 人口 減少」という数字のニュースだけを切り取ると不安になりますが、実際の暮らしのレベルでは、
大月市や都留市と合わせて、一つの広域生活圏としてかろうじてバランスを取っている
という見方もできそうです。
多度津町と江津市も、それぞれ隣接自治体と合わせた「エリア」として暮らしが組み立てられており、
- 単独で見ると厳しい人口規模
- 広域で見ると、まだギリギリ成立している生活圏
という構図は、3つの自治体に共通しているかもしれません。
6 「静かな変化」をどう捉えるか
ここまで見てきたものをまとめると、上野原市の人口減少は、
- 交通条件の良さ
- 地元に残る仕事
- 大月・都留など周辺市町村との一体性
といった要素に支えられながら、「急激な崩れ方」をせず、じわじわと進んでいる、と整理できそうです。
一方で、実際に町を歩いていると、
- 空き家が目立つ地区が増えてきた
- バスの本数が昔より減った
- 昔は子どもの声がしていた時間帯が静かになった
といった“小さな変化”も確かに存在します。
「ある年を境に一気に町が変わる」というより、
- 変化が少しずつ積み重なり、
- 10年後、20年後に振り返ったときに「あの頃とはだいぶ様子が変わった」と気づく
そんなタイプの変化なのかもしれません。
香川県多度津町、島根県江津市といった同規模の自治体と並べてみると、
上野原市は、日本の地方小都市がたどっている“標準的な変化のコース”を、首都圏の端っこ版として歩んでいるようにも見えます。
大月市から隣町を眺める立場としては、
統計としての「上野原市 人口減少」
- 日常風景としての「まだ暮らしは続いている」
この両方を頭の片隅に置きながら、「静かに進んでいる変化」を追いかけ続ける必要があるのではないか――そんなふうにも感じています。